2014年度卒業研究論文。
概要
絵画の中には異時同図法という技法を用いて描かれたものが存在する。異時同図とは、異なる時間の相が同一の画面の中に現されていることである。先行研究によれば、異時同図法で表現された絵画は、正しい時間経過を把握することが難しいと述べられている。そこで本研究では、異時同図法で表現された絵画を閲覧する際に、PC やタブレットを使い、絵画上の一場面にフォーカスし時間経過を追うことで、異時同図について知識を持たない人でも、絵画の物語の把握に効果的な表現手法を提案する。提案手法を用いたコンテンツを作成し、提案手法が物語の把握に効果的な提示方法であるかを評価する実験を行う。
実験及びアンケートの結果から、異時同図構成を把握することに関しては、提案手法の方が効果的であるが、学習効果に関しては、より能動的に操作出来る従来の提示方法の方が高かった。今後の展望として、ICT 教育の推進に伴い、タブレット端末を用いた様々な教材が増えることが望ましい。