コンピューター操作時の心理的負担軽減を目指したバーチャルエージェントの効果検証―高齢者の操作支援を中心として―

Thesis
YAMAGATA Kodai, コンピューター操作時の心理的負担軽減を目指したバーチャルエージェントの効果検証―高齢者の操作支援を中心として―, 2025, https://www.mast.tsukuba.ac.jp/intra/thesis/fy2024/pdf/202110917.pdf

2024年度卒業論文

概要

本研究では、高齢者のデジタルディバイドを解決する手段としてバーチャルエージェントの
利用に着目し、高齢者のコンピューター使用における心理的負担をバーチャルエージェント
によって軽減することができるかを明らかにすることでその有効性を検証した。実験はクラ
ウドソーシングを用いたアンケートにより、高齢者のコンピューター使用状況やバーチャル
エージェントについての認識を調査した。また、バーチャルエージェントの支援を受けなが
らコンピューターの基本的な操作を体験するタスクやブラウザーでインターネット検索をす
る体験を高齢者に行わせた。実験の結果、「緊張している」「不安を感じる」といった指標が、
バーチャルエージェントの支援を受けたコンピューターの操作に慣れない高齢者において減
少した。一方で、「いらいらする」という指標は増加したことから、バーチャルエージェント
は高齢者の心理的負担を軽減するだけでなく、かえって増加させるという可能性が判明した。
さらに、コンピューターの操作に慣れていない高齢者は、マウスやキーボードの操作が困難
である。このことから、スクリーン内にいるバーチャルエージェントが、物理的な入力装置
であるこれらを使うよう高齢者に指示を行うことは難しいという、バーチャルエージェント
の限界が明らかとなった。