社交不安傾向者に対するVRアバターの顔特徴の影響:不安度への寄与の検討

Thesis
松田 和馬, 社交不安傾向者に対するVRアバターの顔特徴の影響:不安度への寄与の検討, 2025, https://www.mast.tsukuba.ac.jp/intra/thesis/fy2024/pdf/202011990.pdf

2020年ごろに発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う外出制限は、うつ病や不安症の増加に大きな影響を及ぼし、社交不安症の患者も増加している。社交不安症は、生涯有病率が高く、自然寛解率が低い一方で、うつ病やアルコール依存などの併発疾患のリスクがあり、治療が必要な精神疾患である。しかし、社交不安症の患者は自力で診断や治療を受ける意思が低いため、治療のハードルを下げる必要がある。

そこで、治療のハードルを下げる手段として、VR曝露療法に着目した。VR曝露療法は、不安症治療に用いられる曝露療法をVR空間内で実施するもので、社交不安症においては、VR空間内で患者が不安を感じる社交的な場面に安全な環境で触れることにより、不安を減少させることを目的とする。しかし、VR曝露療法はまだ発展途上の手法であり、治療に使用するアバターのデザインに関する先行研究は十分ではない。

本研究では、社交不安症の患者がアバターに対して感じる不安に注目し、アバターのデザインが不安に与える影響を検討する。得られた知見をもとに、社交不安傾向の人物に対して行われるVR曝露療法に使用するアバターのデザインに関するガイドラインを策定することを目的とする。