2014年度卒業研究論文
概要
当研究室では、共食コミュニケーションの研究や共食エージェントなどの研究を行ってきた。「共食」には一人で食べる「孤食」よりも食事満足度向上の効果があり、孤食者を支援するために共食相手が擬人化エージェントであっても、人との共食時と同様の効果が得られるという知見や、二者間の共食時のコミュニケーションにおいて、片方のみに食事がある場合には、食事は傾聴スタイルのコミュニケーションを誘発する可能性が示唆されるといった知見などが得られた。
本研究では、これら共食エージェントの対人への影響と食事の偏在で傾聴スタイルのコミュニケーションが得られる知見を、複数の傾聴スタイルのエージェントを用いて、疑似的に作り出し、アイデアの発想支援法の一つであるブレインストーミング法に用いることはできないかと考えた。
アイデア出しの際には傾聴エージェントは聞き手となるため、傾聴が自然に行えるよう、エージェントの動作には、実際の人同士の対面共食を参与役割に着目して分析したデータを用いた。
パイロットスタディでは参加者に、エージェントを相手にアイデア出し課題を行ってもらい、二体の場合、一体の場合でどのような印象の変化、アイデア出しにどのような影響が与えられたのか検証した。その結果、アイデア出しに関する質問では、二者と三者では具体的な違いは見られなかったが、二者と三者の比較調査質問では、三者のシステムの方が、ブレインストーミングに向いているといった傾向が得られた。