2019年度卒業研究論文。
概要
今日、電子書籍が普及し隙間時間を利用した細切れの読書が増え、物語のおさらい機能が必要とされつつある。本研究では人物関係の把握を容易にする狙いで、物語の進度に合わせ変化する人物相関図を備えた電子書籍リーダーの制作とその有効性の検証を行った。
既存研究では文章から登場人物の関係性を抽出する手法に着眼されているが、本研究は物語の進行に合わせ、変化する人物相関図の有効性に着眼点を置いている。
アプリケーションの制作と評価実験の結果、物語の進度と同期された人物相関図が読書体験をより良いものとし、実生活の中でも使用したいという意見が多いことがわかった。
しかし、今回の実験では題材図書が短編作品であるなど、示された有効性についてはあくまで限定的なものである。したがってよりユーザーの生活における使用ケースに近い実験設定や長編の作品を対象にさらに調査していく必要がある。