オノマトペを用いたダイナミックデジタル楽譜開発の試み

KOBAYASHI Chinatsu, オノマトペを用いたダイナミックデジタル楽譜開発の試み, , (), p. , 2024, https://www.mast.tsukuba.ac.jp/intra/thesis/fy2023/pdf/202010943.pdf

2023年度卒業論文。

概要

日本の音楽教育において、「表現」は重要視されている傾向にある。学習者の表現力向上を目的とした教育方法は多く提案されているが、従来の方法では表現における思考力や判断力の育成が主眼とされ、更なる表現力向上のためには具体的な表現技術の向上へのアプローチが必要とされている。本研究では、オノマトペとキネティックタイポグラフィーの組み合わせに着目し、これらの要素を楽譜に付与することで表現力にどのような影響を与えるか、また今後の実用可能性について、実際にモックアップ楽譜を用いた自動演奏動画を制作し、小学 6 年生を対象とした歌唱評価実験を行うことで考察した。制作にあたっては、予備実験でオノマトペのデータを収集し、また得られた知見とオノマトペ自身の特徴から、用いるオノマトペとそのアニメーションについて分類・定量化を行った。実験の結果、オノマトペを用いた新たな視覚的手法が有用であることが示唆され、実用可能性についても十分期待できることが明らかとなった。またオノマトペとキネティックタイポグラフィーといった新しい要素を取り入れる際、本来の楽譜の価値を損なわないようにするための配慮が必要であることが明らかになった。