料理レシピ検索を支援するための 3D 表現を用いた検索結果の可視化

KAWABATA Akiko, 料理レシピ検索を支援するための 3D 表現を用いた検索結果の可視化, University of Tsukuba, 2016, https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/records/40450

2015年度 修士論文。

概要

本研究では、料理レシピの検索結果を可視化するユーザーインターフェースを開発した。料理レシピ検索では、漠然とした欲求下において、膨大な量の検索結果から探索しなければならず、またレシピを選択する際にもユーザーのコンテクストが与える影響により、推薦される上位数件で満足な結果を得ることは難しかった。また既存の料理レシピ検索サイトのUI では一覧ページと詳細ページを何度も行き来し、記憶・検討を行う手間が存在した。そこで、我々は、複数レシピを同時に比較・検討し、一つの画面内で多くの料理レシピを閲覧できる新しいシステムを開発することで、手間をかけることなく、満足に探索行動を終えることを可能とし、料理レシピ探索行動を支援することを目的とした。
 開発したシステムでは、3次元空間上のx, y, z 軸に料理レシピの持つカロリーや塩分、料理時間、料理レシピの優先度といった属性値を対応させ、適した場所に料理レシピを示すオブジェクトを配置することで検索結果を可視化した。これにより、一画面内で、数多くの料理レシピの検索結果を俯瞰視でき、その中で複数属性同士の比較を行うことができるようになった。
 評価実験を行った結果、3DCG を用いた料理レシピの可視化システムによって、一覧ページと詳細ページの行き来を行う回数と検索軸を切り替える回数が減少し、一覧ページと詳細ページを幾度も行き来する冗長な作業や、多くの情報を記憶し、検討する作業が軽減された。また、一つの画面内で比較検討を行うことにより、必要な情報を取得しやすくなった、楽しく探索を行うことができた、というコメントが多く得られた。しかし、操作慣れによる探索時間増加の影響が見られた。そのため、操作方法や使用デバイスを検討する必要があると考えられる。