認知負荷の軽減を考慮した親しみやすい対話型擬人化エージェントのデザインの検討―インタラクション開始時の印象を中心に―

Thesis
Yosuke SAEGUSA, 認知負荷の軽減を考慮した親しみやすい対話型擬人化エージェントのデザインの検討―インタラクション開始時の印象を中心に―, 2019, https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/records/57061

情報学学位プログラム 2019年度 修士論文。

概要

 近年、人と言語によって会話をすることができるロボットやバーチャルエージェントの数が増えている。そうした対話エージェントは、外見や動きといった要素において人間を模すことでユーザーに人格や知性を表現するものが多い。本研究ではこうした視覚的に擬人化された会話システムのことを対話型擬人化エージェントと呼び、ユーザーから見たそれらの印象を決定づける要素について検討することを目的とする

 インタラクティブな擬人化エージェントの印象を決定するためには、外見や動きから読み取れる非言語情報が発話の内容以上に重要となる。本研究では人と対話型擬人化エージェントとの円滑なコミュニケーションを目指し、特にインタラクションの開始時に着目し、外見・動きの両面からエージェントの印象要素を分析しデザインの検討を行った。

 外見の印象形成に関する実験では、ユーザーにとって認知負荷の低い最小限のパーツで構成されたモデルについて、印象形成に影響する眼球パーツの要素を特定するため27種類のモデルを比較する実験を行った。実験の結果、眼球の間隔や顔面に対する上下の配置といった要素が印象形成に関与することがわかった。また動きの印象形成に関する実験では、エージェントからユーザーへのアプローチの際、視覚刺激と聴覚刺激のどちらが先行する方がユーザーから好意的な印象を得られるかを検証した。実験の結果有意差は示されなかったが、エージェントからユーザーへの快適なコミュニケーションの開始のために集中阻害の緩和が必要であることを明らかにした。

  • 主研究指導教員:金 尚泰
  • 副研究指導教員:三河 正彦