線路図形状が経路選択に与える影響に関する研究〜東京の地下鉄を対象として〜

Thesis
OKUSHI Tomomi, 線路図形状が経路選択に与える影響に関する研究〜東京の地下鉄を対象として〜, 2012,

2012年度卒業研究論文。

概要

近年の地下鉄路線図の多くは、駅や路線の物理的な位置情報を取り払い、化ぎっられた角度の線で乗換駅を強調している。この手法は1933年にBeckによって考察され、世界中の鉄道路線図で広まった。しかし、彼の設計の発展型であるロンドンの地下鉄路線図についての調査研究では、利用者の30%が路線図のデザインのために遠回りとなる経路を選んでいるということが示された。東京の公式地下鉄路線図もBeckの方式を用いている。そのためロンドン地下鉄と同様の問題が発生していると考えられる。そこで本研究では、東京の公式地下鉄路線図を対象とし、利用実態調査に基づいて選出した区間について経路選択実験を行った。また、路線図上の駅間距離が実際の距離と比べどの程度変更されているか、相対的な指標を用いて考察を行った。その結果、実験を行った区間において52.5%が遠回りの選択をしていることが分かった。また、60.2%が路線図長の短い経路を選択していることから、路線図上の距離がその要因の一つとして考えられる。東京の公式地下鉄路線図においても、遠回りをする傾向のある区間が明らかになった。